羊文学とアメリカ西海岸ツアーに行ってきました。サンディエゴ、ロサンゼルス、サンフランシスコ、ポートランド4箇所を回る西海岸ツアー「Hitsujibungaku US West Coast Tour 2025」に、シアトルでのアニメイベントへの出演がくっついた、日程は2週間程度の旅でした。スペースシャワーを独立してから、バックステージのドキュメント映像を撮る仕事が多くなってきていて、今回のツアー帯同もそういった仕事の一つになるのかな。お金もらって海外回れたんだからラッキーだよな。
今回のツアー帯同のメンバーは、バンドメンバーの塩塚とゆりかちゃん、サポートのゆなちゃん、楽器のヤスさん、PAの三谷さん、レーベルの古川さん、バディ、マネージャーアイタちゃん、と僕。きゅっとしたメンバーでのツアーとなりました。
成田空港で体調絶不調のメンバー (塩塚衰弱)、スタッフと合流し、薬を買って、荷物を預けて、飛行機に乗り込む。みんな当たり前に荷物が多いけど、僕はいつもの軽量スタイル、カメラバック(ボディはFX3に、レンズはTAMRON17-50、35-150の2本。予備のα74、PC)とちっちゃいリモワ(3日分くらいの衣類)。でも、普段だったら怠けて3脚を持っていかなかったけど、今回は狙いがあって三脚は持って行った(TOCで無料でついてくるでおなじみTH-X)。
機内では運良く通路側の席。約10時間の旅は、一睡もせず、席もたたず、映画を見続けた。教皇選挙とトワイライトウォーリアーズが面白かったことだけは覚えてる、あとは忘れた。ご飯も完食、ここで食べたハーゲンダッツがうますぎて癒された。なんとかパンナコッタ。神。
LAの空港に到着すると、今度は少し元気になった塩塚を横目に、ゆりかちゃんがダウン。空港着くなりトイレに駆け込んでいった後ろ姿は今でも思い出せる。なんとか荷物をピックし到着ゲートに行くと、ソニーLAのリキさんがお出迎え。ハワイ公演ぶりのチェイ。今回ずっとお世話になるバンに乗り込む。機材は貨物トレーラー、バンが貨物トレーラーを引くような形で走行する。運転手は、今回のツアマネでもあるジョナサン。一眼見るだけで、優しい男ということがわかる。黒のコーディネート、黒のキャップ、腕にはタトゥー、そしてかわいい目。
車に乗り込み、かなり疲れていたので記憶はないけど、2時間程度車を走らせ、宿泊宿がある、カールスバッドに到着。カールスバッドは海辺に位置しており、ホテル付近は特に街全体が霧がかっている。初日、何を食べたんだっけ、あ、タコスだ。体調不良なメンバーはホテルでゆっくり、それ以外のメンバーで地元でリキさんおすすめのメキシカンを食べに行った。店は、外にバーがついてるような作りで、霧がかっていたこともあり、独特な雰囲気を醸し出していた。とんでもない量を頼んで爆食い(アメリカでは多分普通)、かなり美味かった。ピニャコラーダで飲酒。
爆睡して翌日、ツアー初日のサンディエゴの会場へ。塩塚は体調が戻ってそうだけど、ゆりかちゃんは見るからにだめな感じだった。僕は、先の見えない霧がかった街の風景を楽しんでいた。ライブハウスに到着すると、なんというか、見たことない雰囲気のライブハウス。キャパは1000入らないくらいなのかな。カントリーチックでもあり、ハードロック的でもある、トラディショナルなアメリカのモチーフが壁を彩っており、面白い。楽屋はなぜか、竹や富士山など日本的。ゆりかちゃんは相変わらず体調が悪そう、楽屋で寝ている。そんな風景を淡々と記録するのが僕の役目。
今回、羊文学のツアーにはオープニングアクトがあった。ジョナサンロイ。カナダのソロアーティスト。バンドで来ており、インスタグラムを見るとかなりのフォロアー数があった。地元では人気なんだろうな。本来混じり合うことが無さそうな面白い組み合わせ。ライブハウスに、カナダの大自然を具現化したような(行ったことないけど笑)イケメンがいるなと思ったら、それがジョナサンロイだった。
ジョナサンロイのライブが終わって、次は羊文学。本番が近づくにつれて、メンバーのメイクアップ、スタイリングが完成していくとともに、どんどん凛とした羊文学になっていく。メイクスタイリングって、バンド、アーティストにとって儀式的な魅力があるよね。いざライブが始まると、いつもの羊文学で、頼もしい。安定感のあるバンドになってるよなと思った。お客さんの反応もダイレクトで、彼女たちの音楽のファンであることが伝わってくる。ウェルカムな雰囲気。ライブが終わった後は、メンバーは結構な数のミーグリをして、たくさんの笑顔をファンに届けていた。ライブが終わり、霧の街、カールスバッドに戻る。就寝。
翌朝、海辺まで塩塚と散歩。昨日、一人で行ったと言っていた海の近くまで行って、海辺で軽く撮影させてもらった。MVのファーストカットになるとは思ってなかったけど、今は、初日のカールスバッドが全てな気もしてる。霧が濃く、遠い場所は見えない。開放的な空気はなく、寂しい。何か悪いことが起きそうな空気とも言えるけど、邪気がある感じはしない。でも内省的な空気ではある。ヘッドホンのサントラ(ツインピークス)が染みる。撮影を終えての帰り道、線路の先は霧で見えなかった。集合時間に少し遅れつつ、次の目的地であるロサンゼルスに移動。
ロサンゼルスに近づくにつれて、霧は晴れていった。2時間程度かけてロサンゼルスに到着。特に予定がないということで、塩塚、ゆりかちゃん、古川さんとロサンゼルスを散歩。トレーダージョーズでファンクラブ用の買い物、撮影をしつつ、街を少し散策。意外と店が閉まるのが早く、夕方あたりには中に入れる店がほとんど無かった、残念。でもロスを感じるには充分。ハリウッドセレブたちは漏れなく全員かわいい犬を連れていて、散歩させていた。夜には、いきなりの日本食を食べて、タクシーを待つ。夜のロサンゼルスは、本当に日本って安全なんだなって逆に感じるくらいの危なっかしさはある、そう、ここはアメリカ。でもなんとなく、僕の顔って、移民っぽいつーか、サモア、チカーノっぽい感じもあるのか、ま、とりあえず危なそうな人はそこまで寄ってこない。
翌日。ロサンゼルス2日目は、断水、断電という日本ではありえない状況から始まった。僕は特に何も困らなかったけど、メイクするみんなは大変だからね。朝、時間があったので、バージルノーマルっていうかっこいい店に行ってみる。イケてるおじいが店員で、フィルムカメラ置いてたり、ロスのグッズ、スケーターっぽいメンズの服も含めて、かっこいい店だった。付いてきたアイタちゃんとチェキってた近くのベーグルの店に行こうと思って行ったら大行列。え?アメリカ人って並ぶの?っていう完全なる偏見がなくなった。
ホテルに戻り、アメリカのメディア用のスタジオライブ企画を撮影するってことで、ビーチに向かった。ベニスビーチ。人が多い。だし、みんなスピーカーを持っていて、外向けに爆音で音楽を鳴らしている。ここでライブを撮るのは不可能、と判断し、海辺を走らせて、サンタモニカビーチへ。とにかく広くて、人が少ない。観覧車の近くは賑やかだけど、その反対側にカメラを構えると、何もない。そして、遠くは霧がかっている。もはや懐かしい、霧。みんな思い浮かべる真っ青な西海岸の海の景色とは全く異なるが、どん曇っていて、背景に何もない感じが逆に魅力的に思えて、ここで弾き語りを撮ることにした。4テイクくらいサクッと撮って退散。そろそろどっかに上がっているのかな。ビーチ帰りに車で外を見ていると、横についたタクシーは、誰も運転せずにハンドルだけが動いていた。完全に自動運転が実装されて、しかも実用化されてる。これにはかなり驚いた。メンバーは寝てて気づいてなかったけど、横に座っていた古川さんと盛り上がった。(翌日、古川さんは自動運転タクシーに乗って写真を送ってくれた。行動力。)ウェイモというらしい。なかなかにびっくりしたけど、日本で乗れる日はなかなか来なさそう。知らんけど。その後、ジョナサンおすすめのブードゥードーナツで、血糖値急上昇間違いなしの危険なドーナツを購入。買ったはいいものの、なぜか誰も車で食べたいと言い出さず、ドーナツを食べないまま(アメリカツアー7不思議のうちの一つ)、ファーマーズマーケットへ。お土産買ったり、ご飯食べたり、ゆったりしてホテルへ。
ロサンゼルス公演の朝。会場に着くなり、ランチがてら近所をぶらぶら。人糞トラップがあったりしつつも、メキシカンでランチ。その後、ライブハウス近くのかわいい本屋さんへ。良さげな本屋さんって本当に吸い込まれるよね。謎にクソ重い、UKの写真家の写真集を購入。絶対日本で買えるのわかってるけど、買っちゃうよねって横で、塩塚は、くそ重そうな本を2冊買っていた。会場へ入ってからの記憶がほぼ無いが、日本で言うとリキッドみたいな箱だった。楽屋は激狭。ゆりかちゃんはまだギリ体調悪そうで、寝てる。フロアに行くと、ジョナサンロイが仲間とチルっている。塩塚、ユナちゃんと仲良く話すジョナサンロイ。カナダのメイプルシロップのお菓子をくれた。クソ甘くて、クソうまい。その後、ジョナサンロイに着いてきていたビデオグラファーと少し話す。機材はほぼ同じ、レンズは常に16-35を付けて、振り回しながら撮ってた。唯一の俺への質問が「ベース感度何?」っていう質問で、12800って言ったら、OKと。「え、何?」となったが謎の握手。後で、彼が作った映像を見たら、とんでもない編集のカットの速さで、っぽいなと思って少し笑った。羊文学のライブが始まる。完全に盛り上がっている。少しセトリも変更して初日公演よりも内容が良くなってる気がする。ライブ後、ミーグリ。ライブハウスを出た後、次のポイントまで車移動とのことで、夜ご飯はその間にあるデニーズに行くことになった。そういえば、アメリカンダイナー的な場所にまだ行っていない僕らは、デニーズといえど、アメリカダイナーの本場感を感じて、盛り上がった。ジョナサンはハードロック好きということが判明。付け合わせのマッシュポテトを2倍にして頼んで、残していた。そこからダブルマッシュというあだ名が一瞬ついて、パンチワードとして度々登場した。満足して車に乗り込むと、最後になったアイタちゃんが「やばい!怖い!」と言いながら急いで車に乗り込んで扉をめいっぱい閉めた。ゾンビが追いかけて来たらしい。車が移動しながら、外を目を凝らして探したが、そのゾンビはもういなかった。
朝、オークランドのホテルで起床。もう集合時間の30分前だ。このツアー中に進めようと思っていたオフラインを諦めたこともあって、家にいる時よりもぐっすり睡眠時間もとっていて、むしろ健康な自分。4時間の移動でサンフラインシスコへ入る。移動中、広大な景色が広がる。ラジオから鳴る音楽を聴きながら、日本の景色には日本の音楽が、アメリカの景色にはアメリカの音楽が合うな、と普通のことを思った。ガチャガチャした音楽はすすんで聴きたくはない、今、この広大な景色を目の前にして。到着後、焼肉。コムタンスープうまし。どでかいウォルマートでそれぞれ必需品を買う。僕は、毎ホテルで忘れてくる、歯ブラシセットを購入。子供用のセサミストリートデザイン、今でも家で使っている。アメリカをあったかい国と勘違いして薄着で来たゆりかちゃんは、寒いと言われているシアトルに向けてぺらぺらの服を買っていた。全く防寒にならないと思った。
サンフランシスコ公演へ向かう。途中、有名な橋で、橋を一瞬見る。サンフランシスコはあなたにとってどういう街ですか?という問いに、塩塚は、ただの街と言い放った。そうだよね。サンフランシスコのライブハウスへ入る。会場の天井が高く、2階建。良い雰囲気。ゆりかちゃんも元気になってきて、全体的に楽しげな雰囲気が出て来た。ジョナサンロイのライブも3回目、好きな曲も出てきた。羊文学、ライブばっちり。ミーグリして、3箇所目終了。早いもんで、ツアーはあと残すところポートランド1ヶ所となる。
ライブ終わり、飛行機移動のメンバーとは別れて、車に乗り込む。こっからポートランドまで10時間程度のロングドライブ。前日のウォルマートでリキさんたちが、僕たちのために、座席に引くマットを買ってくれていた。かなり調子がいい。座席一列分使って横になり、視線の先には窓。ただただ夜の高速道路の景色が左から右へ流れていく。景色を見ているうちに本当にトリップしてしまった僕は、このロングドライブがとても長い時間に思えたし、一瞬にようにも感じた。長くて一瞬。そして、知らないうちに熟睡。寝違えた首を気にもせず、首を90度に曲げながら朝方の西海岸の息吹を感じていた。景色を見ていると、ポートランドに到着。メンバー合流まで時間がある。みんなでコーヒーを飲み、ヤスさんは楽器屋へ。僕と三谷さんは、小田部におすすめされた古着屋に行ってみた。古着よりオブジェが気になり、3、4点購入。日本のYAMASTOREで日頃買っているようなものを、アメリカ現地で購入。店員は僕が買った「豆腐のようなものが樹脂に封入されているオブジェ」を見て、ワッツ!?と驚いていた。アイキャントアンダースタンド、バット、アイウォント。
ポートランドのライブハウスは、学校をリノベーションした場所だった。もともと校庭だったと思われる広大な緑地には、大型犬が走り回っており、その横のカフェで仕事をしてる人たちの雰囲気も、街全体の空気感も、雑誌のポパイが目指したものが全てあるような感じで、かっこよくて、心地よくて、ずるかった。メンバーと合流した後も、ライブハウスの前のかわいいショップで買い物を楽しんだ。ライブハウスの1階にあるチャイも美味しいらしい。塩塚は、タロットカードを買って、先生としてみんなの相談を幸なる方へ導いていた。ジョナサンロイのライブもイントロが鳴った瞬間に盛り上がるくらい体に入っている。楽屋も最高。居心地がいい。2人の体調も良さそうで、ライブに向かう足取りも一段と軽くなっている。ライブもあっという間に終わる。リキさんも嬉しそう。え、もうポートランド移動なの?あと2週間はいたいな。ということで、羊文学アメリカツアーは4ヶ所目のポートランドで幕を閉じた。
このままシアトルでのイベントに向かう。といったところでこのブログは終わろうと思う。なぜなら、僕は今、アメリカ滞在中さぼっていた仕事が山積みである。今月は、POPYOURSもある。だから悠長にブログを書いている暇は本当はないのだ。ということで、もはや夢っぽさもあるような、僕のマイルドデイズinアメリカでした。